結論から言うと、M-65フィッシュテールパーカーの実物判別は「年代」と「軍の仕様変更」を理解すれば迷いません。
見た目が似ているレプリカも多く存在しますが、米軍実物には 年代ごとに必ず残る“軍支給品の証拠” があります。
この記事では、以下の4つのことを順に解説します。
- タグで実物かどうか見分ける
- 年代別の特徴を把握して見分ける
- シェル・タグ・ファスナー・ライナー取付構造の違いで見分ける
- レプリカの特徴
タグで実物かどうか見分ける


米軍実物の M-65 フィッシュテールパーカーを見分けるうえで、最初に確認すべきなのは「シェルの内側に付いているタグ(ラベル)」です。
米軍に正式納入されたシェルには、ほぼ例外なく、
- 正式名称
- 契約番号(コントラクトナンバー)
- サイズ表記
- 素材表記
が1枚のタグ、もしくは関連ラベルとしてまとめて記載されています。
※年代によって表記方法や配置には違いがありますが、これについては次の項目で詳しく解説します。
このタグは、米軍の補給・管理ルール(調達契約)に基づいて付けられるものであり、軍と正式な契約を結んで納入された製品でなければ存在しません。
なぜ「タグ」が最優先なのか
生地の質感やシルエット、色味といった要素は、現在では民生品(レプリカ)でもかなり高いレベルで再現できます。
しかし、
- 契約番号
- 調達機関(DSA / DLA など)の表記
- 年代と整合性の取れた軍用ラベル構成
これら 軍の管理情報そのもの は、民間ブランドが「本物として」再現することはできません。
そのため、実物判別では、見た目よりもまずタグを確認することが最優先になります。
※シェルそのものの仕様で見分ける方法については、後の項目で詳しく解説します。
タグの情報を読む
タグが確認できたら、次に行うのが タグに記載された情報を読み取る作業です。
特に重要なのが、
- CONTRACT NO(契約番号)
- DSA / DLA などの表記
これらは、米国防総省(DoD)が発行した調達契約番号を示しています。
多くの場合、この契約番号の中には 製造年(契約年)を示す数字が含まれており、年代特定の大きな手がかりになります。
実物判別の最初のチェックポイント
まずは以下を確認してください。
- シェルの内側にタグ(ラベル)が付いているか
- そこにコントラクトナンバーや軍の調達表記があるか
「コントラクトナンバー」「軍の調達表記」とは
コントラクトナンバー(CONTRACT NO) とは、米軍が被服や装備を民間企業から調達する際に発行する正式な契約番号のことです。※M65フィッシュテールの場合、STOCK NO 8415-○○○-○○○○と表記されています。
僕が以前持っていたM65フィッシュテールのタグには。
STOCK NO 8415-782-3218
と記載されていました。年代が70sと74sですが、同ナンバーでした。
また、タグに記載されている
- DSA
- DLA
といった表記は、米国防総省(DoD)配下の調達機関 を示しています。
つまりこれらは、
- 「いつ」
- 「どの調達機関が」
- 「どの契約で」
- 「軍に納入させたか」
を管理するための軍専用の識別情報です。
このような表記は、実際に米軍と契約を結び、納入された製品にしか付けられません。
そのため、
- コントラクトナンバーがある
- DSA / DLA などの調達表記がある
この2点が確認できれば、そのシェルは軍に納入された実物である可能性が非常に高いと判断できます。
タグにブランド名などが記載されていればレプリカ
- ブランド名が大きく記載されている
- 民生ブランドのネームタグのみが付いている
この場合、その個体は レプリカ(民生品) です。
例えば、HOUSTONなどは、M-65をモチーフにした高品質な復刻品ですが、軍への納入品ではないため、実物ではありません。
ここまでの内容まとめ
ブランド名表記があればレプリカ。実物・本物の場合、会社の名称が記載されていますが、ブランド名は記載されていません。
会社名の例 :
- SPOTSMASTER, INC
- VANDERBILT SHIRT CO., INC
こんな感じです。
- 実物判別は まずタグを見る
- タグは「軍に納入された証明」
- 見た目の完成度より 管理情報の有無が最優先
- ブランド名表記があればレプリカ(実物の場合、製造会社名は記載されてもブランド名は記載されない)
年代別の特徴を把握して見分ける
前の項目で解説したとおり、実物判別の起点はタグ(ラベル)情報です。
M-65フィッシュテールパーカーは、このタグ表記の変化を軸に見ることで、年代 → 仕様 → 実物かどうかを確実に見分けれます。
ここでは、「タグを見て年代を把握し、シェルやジッパーなどのディテールで裏付ける」という考え方で解説します。
【初期型】1968年モデル
(タグ:M-65 / ARCTIC)
タグ
- 表記:M-65
- インストラクションラベル:ARCTIC
👉 「M-65+ARCTIC」表記は初期型のみの組み合わせ
ファスナー
- アルミジッパー(初期特有)
- メーカー刻印なしが多い
ライナー取付
- 平型・縁付きボタン(珍しい仕様)
- M-51用ライナー装着可(専用タブあり)
見返し(前立て裏)
- 起毛感のある素材
- 手間のかかった初期仕様
M-51の仕様を色濃く引き継いだ、初期モデル
※希少性が非常に高く入手困難
【初期型】1970年モデル

(タグ:M-65 / ARCTIC)
タグ
- 表記:M-65
- ARCTIC表記あり

👉 1968年と同系統だが、仕様が安定
ファスナー
- 引き続きアルミジッパー

ライナー取付
- ボタン形状が通常型に変更
- M-51ライナー互換タブあり

見返し
- 1968年と同系統の起毛仕様

初期型の完成形。着用・実用性のバランスが良い
【移行期】1972年モデル
(タグ:EXTREME COLD WEATHER)
タグ
- 表記が「EXTREME COLD WEATHER」に変更
👉 タグ表記の大きな転換点
ファスナー
- ブラック塗装の真鍮製
※真鍮製(しんちゅうせい) とは、銅と亜鉛の合金のこと
ライナー取付
- ファティーグボタン
- M-51用タブあり(最後期)
その他の変更点
- 右胸にコットンテープ製パッチ追加
- 見返しが簡素化(3つ折り処理)
タグ・構造・縫製の仕様が大きく変わった切り替わりのモデル※旧仕様から新仕様へ切り替わった時期にあたるモデルです。
【中期型】1973年モデル
(タグ:コントラクトナンバー表記)
タグ
- コントラクトナンバー表記
- ARCTIC表記は裾側ラベルのみ
👉 タグが簡素に見えるが正規仕様
ファスナー
- 真鍮製
- SCOVILL社製(曲がり引き手)
ライナー取付
- ナイロンタブ+ファティーグボタン
- M-51用タブあり
見返し
- 簡素仕様(起毛なし)
タグだけで偽物と誤解されやすいが、正真正銘の実物
【中期型】1974年モデル

(タグ:コントラクト表記)
タグ
- コントラクト表記継続

ライナー取付
- M-51用タブが完全廃止

👉 M-65体系に完全統一
ファスナー
- 真鍮製(メーカー変更)
- 引き手一体型が登場
見返し
- 二重構造の丁寧な作り(例外的)
実用性を重視しつつ、縫製や作りが丁寧な個体が多い年代
【後期前半】1977年モデル
(タグ:大型化・統合)
タグ
- 大型化
- インストラクション表記が1枚に統合
ファスナー
- 真鍮製
- GENERAL社製(G刻印)
ライナー取付
- ナイロンタブ+ファティーグボタン
- M-51互換なし
イレギュラー仕様
- フィッシュテール固定ボタンが共地テープ
(理由不明の例外仕様)
完成度の高い後期前半モデル
【後期型】1983年モデル
(タグ:大型・簡素)
タグ
- 大型ラベル継続
- 表記は簡素化
ファスナー
- 真鍮製
- GENERAL社製
ライナー取付
- 標準仕様のみ(簡略化)
見返し
- さらに簡素化
- コストダウン傾向
軍放出末期。実用一点特化の量産モデル
年代別ざっくり分類(覚え方)
- 1968–1970:初期型
(M-65表記・アルミZIP・作りが丁寧) - 1972–1973:移行期
(タグ表記・ZIP・仕様が混在) - 1974–1977:中〜後期
(体系完成・実用重視) - 1983:後期型
(簡略化・量産向け)
年代の特徴まとめ
M-65フィッシュテールパーカーは、
- タグを見て年代を把握する
- ファスナー・ライナーの仕様を確認する
この順で見れば、見た目が似ていても年代と実物判別は必ず可能です。
M-65は、「どの年代か」=「どのような用途や設計で作られたか」が、そのままディテールに表れています。
シェル・タグ・ジッパー・ライナーの違いで見分ける
― 実際に1着を手に取ったときの確認手順 ―
ここまでで、
- タグで実物かどうかを見分ける
- 年代別の特徴を把握する
という 知識面を解説してきました。
この章ではそれを踏まえて、実際に1着を前にしたとき、どこを・どの順番で見ればいいかを整理します。
見分ける順番は「内側 → 外側」
M-65フィッシュテールパーカーは、見る順番を間違えなければ迷いません。
基本の流れは次の4ステップです。
- タグ(ラベル)
- シェル全体
- ファスナー
- ライナー取付構造
タグを見る(最優先)
まず最初に確認するのは、シェルの内側に付いているタグ(ラベル)です。
チェックポイントは以下。
- 正式名称が記載されているか
- コントラクトナンバー(8415から始まる数字)があるか
- DSA / DLA などの軍調達表記があるか
- サイズ・素材表記があるか
👉 ここで ブランド名が大きく記載されていればレプリカ
👉 軍の調達情報があれば 実物の可能性が高い
この時点で、実物かどうかの大枠はほぼ決まります。
タグから年代を把握する
次に、タグ表記から 年代を把握します。
代表的な判断基準は以下です。
- 表記が M-65 / ARCTIC → 初期型
- 表記が EXTREME COLD WEATHER → 移行期
- コントラクトナンバー表記のみ → 中期以降
- 大型タグで情報が集約 → 後期型
👉 この段階では「このあたりの年代だな」と把握できれば十分です。
シェル全体の仕様を見る
年代を把握したら、次は シェル全体の仕様が合っているかを確認します。
見るポイントは、
- 生地の質感(ナイロン×コットン)
- 見返し(前立て裏)が
- 起毛しているか
- 簡素な折り返しか
- 縫製が手間のかかった作りか、簡略化されているか
- 初期型なのに作りが簡素すぎる
- 後期型なのに起毛見返しがある
このような実物とのズレがあれば注意が必要です。
ジッパーを見る
次に、ファスナー(ジッパー)を確認します。
チェックポイントは、
- アルミ製か、真鍮製か
- メーカー(SCOVILL / GENERAL など)
- 引き手の形状(曲がり・一体型など)
年代との対応関係は明確です。
- 初期型 → アルミジッパー
- 移行期以降 → 真鍮ジッパー
- 中期~後期 → SCOVILL / GENERAL
👉 ジッパーは実物の裏付けとして非常に信頼性が高い部位です。
ライナー取付構造を見る
最後に確認するのが、ライナー取付構造です。
ここは 年代特定の決定打 になります。
見るポイントは、
- M-51用ライナー互換タブがあるか
- ナイロンタブ+ファティーグボタンか
判断の目安は以下。
- ~1973年頃 → M-51互換タブあり
- 1974年以降 → M-51互換タブなし
👉タグ・ファスナー・シェル仕様とこの構造が一致していれば、実物判定はほぼ確定です。
まとめ
実物M-65フィッシュテールパーカーの見分け方は、次の順番で見れば迷いません。
- タグを見る(実物かどうか)
- タグで年代を把握する
- シェル仕様が実物と合っているか確認
- ジッパーで裏付けを取る
- ライナー取付構造で最終確認
M-65フィッシュテールパーカーは、知識があれば実物を見分けられる装備ですが、購入時の安心感は知識とは別の要素でもあります。
今回解説した見分け方とあわせて、信頼できる購入先を選ぶことで、「知らずに偽物を掴んでしまう」リスクは大きく減らせます。
M-65フィッシュテールパーカーの偽物を掴まないために
M-65フィッシュテールパーカーの実物を確実に手に入れたい場合、購入先の選び方も非常に重要です。
選択肢としては、
- eBayなどの海外マーケットで探す
- 軍放出品を専門的に扱っているショップで購入する
この2つが考えられます。
ただし、eBayは実物が流通している一方で、
- タグや仕様を自分で正確に判断する必要がある
- 写真や説明文だけで真贋を見抜く必要がある
- 出品者によって知識量に差が大きい
- そもそも買い物が激ムズ
といった点から、難易度が高い方法でもあります。
そのため、「確実に実物を手に入れたい」「失敗したくない」という場合は、軍放出品を継続的に扱っている専門店を利用するのが現実的です。
例えば、WAIPERでは、米軍放出の M-65 フィッシュテールパーカー(実物)が販売しています。※すぐ売り切れになることが多いですが。
同社では復刻品(レプリカ)も取り扱っていますが、実物と復刻品は商品ページ上で明確に分けて表記されているため、購入時に混同しにくいのも安心できるポイントです。
誤って復刻品を選ばないよう、実物M-65 フィッシュテールパーカーの商品ページへのリンクを貼っておきますね。

