カーハートの「Detroit Jacket(デトロイトジャケット)」には、米国Carharttが展開するワークウェアと、Carhartt WIPが展開するモデルがあります。
どちらもデトロイトジャケットの特徴的なデザインを受け継いでいますが、同じ製品ではありません。
大きな違いは、ワークウェアとしての設計と、ファッション向けに再構築された設計にあります。
- Carhartt: 作業着としての耐久性や動きやすさを重視したワークウェア
- Carhartt WIP: ワークウェアをベースに、シルエットや素材、ディテールを独自に再構築したライン
今回は、米国Carharttの「103828」とCarhartt WIPの「I015264」を中心に、米国公式情報をもとに違いを解説します。
カーハートのデトロイトジャケットとWIPの違い【比較表】
まずは、両モデルの違いを一覧表にまとめました。
| 比較項目 | Carhartt | Carhartt WIP |
|---|---|---|
| 比較モデル | Detroit Jacket | Detroit Jacket |
| 品番 | 103828 | I015264 |
| ブランドの位置づけ | ワークウェア | ワークウェアを基にしたファッションライン |
| フィット | リラックスフィット | レギュラーフィット |
| 表地 | 12オンス・リングスパンコットンダック | 12オンス・オーガニックコットンのディアボーンキャンバス |
| 胴部分の裏地 | ブランケットライニング | ストライプ柄ブランケットライニング |
| 袖の裏地 | キルティングナイロン | ナイロンタフタ |
| 襟 | コーデュロイ | コーデュロイ |
| 背面 | バイスイングプリーツ | 公式仕様に記載なし |
| 裾 | 後ろが長いドロップテール | スナップボタンで調節可能な裾 |
| フロントジッパー | ジップ開閉 | ツーウェイジッパー |
| 胸ポケット | ジッパー付き | ジッパー付き |
| 内ポケット | 2つ | 公式仕様に記載なし |
※Carhartt WIPは冬仕様のI015264を比較しています。春仕様やOGモデルでは仕様が異なります。また「公式仕様に記載なし」は、その機能が存在しないという意味ではありません。
出典:
比較したデトロイトジャケットの商品情報
Carhartt Detroit Jacket 103828
CarharttとCarhartt WIPはブランドの位置づけが違う
まず理解しておきたいのが、CarharttとCarhartt WIPの関係です。
Carharttは1889年創業のワークウェアブランド
Carharttは1889年、アメリカ・ミシガン州デトロイトで創業したワークウェアブランドです。
労働者が着用する作業着を中心に発展してきました。
デトロイトジャケットも、そうしたワークウェアの歴史を持つ製品です。
米国Carhartt公式によると、デトロイトジャケットは1954年に登場しました。
現在の103828も、丈夫なコットンダック生地や補強された縫製、作業時の動きやすさに配慮した構造を受け継いでいます。
Carhartt WIPは1994年に誕生
一方、Carhartt WIPは1994年にエドウィン・フェイによって設立されました。
WIPは「Work In Progress」の略称です。
米国Carhartt公式によると、WIPは伝統的なワークウェアをヨーロッパ市場に向けて再構築することから始まりました。
現在では、ストリートウェアやスケートボード、音楽などのカルチャーと結びついたコレクションを展開しています。
つまり、WIPはカーハートの偽物や単なる復刻ブランドではなく、Carharttのワークウェアを基に独自の製品を展開するブランドです。
サイズ感・シルエットの違い
デトロイトジャケットとWIPを比較するときに重要なのが、サイズ感です。
Carhartt 103828はリラックスフィット
Carharttの103828は、米国公式サイトで「Relaxed Fit」と表記されています。
身体の動きを妨げにくい、ゆとりを持たせたフィットです。
背中にはバイスイングプリーツがあり、肩や腕を動かしたときに生地が突っ張りにくい構造になっています。
また、裾は後ろ側が長いドロップテール仕様です。
作業時の動きやすさと腰回りのカバーを考えた設計が特徴です。
Carhartt WIP I015264はレギュラーフィット
Carhartt WIPのI015264は「Regular Fit」です。
WIPが展開するOG Detroit Jacketのルーズフィットと比べても、すっきりとしたシルエットに設計されています。
ただし、注意したいのは、CarharttのリラックスフィットとWIPのレギュラーフィットは、それぞれのブランドが定めるサイズ設計だということです。
同じMサイズでも、着丈・身幅・肩幅が一致するとは限りません。
また、Carhartt WIPには通常版とは別に、ゆとりを持たせた「OG Detroit Jacket」も存在します。
そのため、WIPのデトロイトジャケットがすべて細身というわけではありません。
生地・素材の違い
CarharttとWIPは、どちらも丈夫なコットンキャンバスを採用しています。
ただし、使用される生地の名称や仕様が異なります。
Carharttは12オンスのコットンダック
Carhartt 103828には、12オンスのリングスパンコットンダックが使用されています。
コットンダックは、密度の高い丈夫な平織り生地です。
ワークウェアらしいしっかりとした生地感を持ち、摩擦や日常的な使用を想定した構造になっています。
WIPは12オンスのディアボーンキャンバス
Carhartt WIP I015264には、12オンスのディアボーンキャンバスが使われています。
素材はオーガニックコットン100%です。
ディアボーンキャンバスは、Carhartt WIPの代表的な生地の一つで、デトロイトジャケット以外の製品にも採用されています。
両モデルの表地は、どちらも12オンスです。
したがって、Carharttの生地が必ず厚く、WIPが薄いという区別はできません。
違いは、生地の種類や加工方法、製品全体の設計にあります。
なお、WIPではリジッド、リンスド、ウォッシュ加工など、同じデトロイトジャケットでも異なる仕上げが展開されています。
裏地の違い
両モデルは、胴部分にブランケットライニングを採用している点が共通しています。
しかし、袖部分の構造には違いがあります。
Carhartt 103828の裏地
Carhartt 103828は、次の仕様です。
- 胴部分:ブランケットライニング
- 袖部分:中綿入りのキルティングナイロン
ブランケットライニングは胴部分の保温を担い、袖部分には滑りのよいキルティングナイロンが採用されています。
Carhartt公式では、103828の保温性を「Warmth Level 1」と評価しています。
Carhartt WIP I015264の裏地
一方、WIP I015264は次の構造です。
- 胴部分:ストライプ柄のブランケットライニング
- 袖部分:ナイロンタフタライニング
胴部分にブランケットライニングを採用している点は共通しています。
ただし、袖部分は103828の中綿入りキルティングナイロンとは異なり、ナイロンタフタ仕様です。
この違いから、袖の内部構造が異なることがわかります。
ただし、両モデルを同じ条件で測定した保温性能の数値は確認できないため、ジャケット全体でどちらが暖かいかを断定することはできません。
裏地の違いは、両モデルを区別する重要なポイントです。
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ディテール・構造の違い
デトロイトジャケットの基本的なデザインは、CarharttとWIPで共通しています。
どちらもコーデュロイの襟、左胸のジッパーポケット、フロントジッパーを備えています。
一方、細かい構造には違いがあります。
Carharttは動きやすさを考えた構造
Carhartt 103828には、次の仕様があります。
- 背面のバイスイングプリーツ
- 主要な縫い合わせ部分のトリプルステッチ
- スナップボタンで調節できる袖口
- ドロップテールの裾
- 2つの内ポケット
バイスイングプリーツは、肩や腕の可動域に余裕を持たせるための構造です。
また、主要な縫い合わせ部分には3本針ステッチが採用されており、耐久性を重視した設計が確認できます。
WIPはディテールを独自に再構築
WIP I015264には、次の仕様があります。
- ツーウェイのフロントジッパー
- スナップボタンで調節できる袖口
- スナップボタンで調節できる裾
- 左胸のジッパーポケット
- 胸のスクエアラベル
特徴的なのが、ツーウェイジッパーと調節可能な裾です。
ツーウェイジッパーは上下から開閉できる構造で、裾の開き方を変えることができます。
また、WIPはモデルやシーズンによってディテールを変更しているため、すべての製品が同じ仕様とは限りません。
CarharttとWIPの見分け方
外観が似ている両モデルですが、いくつか確認することで区別できます。
品番を確認する
最も確実なのは、製品タグに記載された品番です。
| 品番 | モデル |
|---|---|
| 103828 | Carhartt Detroit Jacket |
| I015264 | Carhartt WIP Detroit Jacket(冬仕様) |
| I033112 | Carhartt WIP Detroit Jacket(春仕様) |
| I027358 | Carhartt WIP OG Detroit Jacket |
品番を確認することで、米国Carharttの製品かWIPの製品かを区別できます。
裏地を確認する
今回比較した103828とI015264では、袖裏地が異なります。
Carhartt 103828はキルティングナイロン、WIP I015264はナイロンタフタです。
ただし、WIPには裏地のない春仕様も存在します。
裏地だけではなく、品番と組み合わせて確認することが重要です。
背面と裾を確認する
Carhartt 103828には、背面のバイスイングプリーツとドロップテールの裾が採用されています。
一方、WIP I015264は裾をスナップボタンで調節できる仕様です。
このような構造の違いも、見分ける際の手がかりになります。
なお、製造国だけで本家とWIPを判断することはできません。
米国Carhartt公式も103828の製造国を輸入品と記載しており、「アメリカ製なら本家」という区別は正確ではありません。
WIPのデトロイトジャケットには春仕様と冬仕様がある
最後に、WIPのモデル展開について確認しておきます。
Carhartt WIPのデトロイトジャケットには、季節によって異なる仕様が存在します。
| モデル | 品番 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Detroit Jacket Winter | I015264 | ブランケット裏地付き |
| Detroit Jacket Spring | I033112 | 裏地なし |
| OG Detroit Jacket Winter | I027358 | ルーズフィット、キルティング裏地 |
| OG Detroit Jacket Spring | I035280 | ルーズフィット、裏地なし |
今回比較したI015264は冬仕様です。
一方、I033112は裏地のない春仕様で、同じWIPのデトロイトジャケットでも内部構造が異なります。
また、OG Detroit Jacketは通常版よりゆとりのあるルーズフィットとして設計されています。
そのため、CarharttとWIPを比較するときには、WIPのどのモデルを対象にしているのかも確認する必要があります。
出典:
まとめ|CarharttとWIPのデトロイトジャケットの違い
CarharttとCarhartt WIPのデトロイトジャケットは、基本的なデザインを共有していますが、製品としての設計が異なります。
今回比較したCarhartt 103828とWIP I015264の違いをまとめると、次のとおりです。
- ブランドの位置づけ: Carharttはワークウェア、WIPはワークウェアを再構築したファッションライン
- フィット: Carharttはリラックスフィット、WIPはレギュラーフィット
- 生地: どちらも12オンスだが、使用されるコットンキャンバスの仕様が異なる
- 裏地: Carharttは袖がキルティングナイロン、WIPはナイロンタフタ
- 背面と裾: Carharttはバイスイングプリーツとドロップテール、WIPは調節可能な裾が特徴
- モデル展開: WIPには通常版・OG版に加え、春仕様と冬仕様が存在する
両者の違いは、単にブランド名やロゴが異なることではなく、フィット・素材・内部構造・ディテールの設計にあります。
正確に比較するには、CarharttとWIPというブランドの違いに加えて、製品の品番を確認することが重要です。

Carhartt ワークウェアライン
Carhartt WIP
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