B-10とB-15は、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍航空軍(USAAF)が採用したフライトジャケットです。
B-10は1943年、後継のB-15は1944年に制式化されました。
主な違いは、フロントポケットの形状、ジッパーの配置、防風用フラップ、袖のペンポケットです。
当時の米軍仕様書をもとに、B-10とB-15の違いを比較します。
B-10とB-15の違いを比較
| 比較項目 | B-10 | B-15(初期型) |
|---|---|---|
| 制式化 | 1943年11月4日 | 1944年4月8日 |
| 採用組織 | 米陸軍航空軍 | 米陸軍航空軍 |
| 軍用仕様番号 | 3157 | 3220 |
| フロントポケット | フラップ付きパッチポケット | 斜めに開くスラッシュポケット |
| ジッパー | 中央にまっすぐ配置 | わずかに位置をずらした構造 |
| 防風フラップ | ジッパーを覆う長いフラップなし | ジッパーを覆うフラップあり |
| 左袖のペンポケット | なし | あり |
| 表地 | コットンツイル | コットン系生地(一部に綿・レーヨン混紡) |
| 裏地 | アルパカ・ウールのパイル | アルパカ・ウールのパイル |
| 襟 | ムートン | ムートン |
※1943年のB-10と1944年の初代B-15を比較しています。B-15A・B-15B・B-15C・B-15Dなど、後年の派生型は仕様が異なります。
実物のディテールや復刻モデルの写真
WAIPER公式|B-10・B-15関連フライトジャケット一覧
※掲載されているB-15B・B-15Cなどは、1944年の初代B-15とは仕様が異なります。
B-10とB-15の主な違い
フロントポケットの違い
外観から区別しやすいのが、フロントポケットの形状です。
B-10:フラップ付きパッチポケット
ジャケット前面の左右に、フラップ(ふた)の付いたポケットが配置されています。
ポケット本体を表地の上から縫い付けた構造です。
B-15:スラッシュポケット
B-15では、ポケットの開口部が斜めになったスラッシュポケットへ変更されました。
B-10と比べて、フロントのポケット周辺がすっきりした外観になっています。
この変更は、1944年のB-15開発時の仕様資料でも確認できます。
ジッパーと防風フラップの違い
フロントジッパーの構造も異なります。
B-10
ジッパーは前面中央にまっすぐ配置されています。
ジッパー全体を覆う長い防風フラップはありません。
B-15
ジッパーの位置がわずかにずらされ、ジッパーを覆う防風フラップが追加されています。
1944年のB-15仕様書では、フロント部分の構造が変更されていることを確認できます。
左袖のポケットの違い
B-10
左袖には、B-15のようなペンポケットが設けられていません。
B-15
左袖にペンを収納するためのポケットが追加されました。
B-15の開発資料でも確認できる変更点です。
フロントポケットと合わせて、両モデルを見分ける際の外観上の違いになります。
表地の違い
B-10と初代B-15は、どちらも布製のフライトジャケットです。
B-10
米軍仕様書「3157」では、表地にコットンツイルを使用すると規定されています。
B-15
初代B-15もコットン系の生地を採用しています。一部には、コットンとレーヨンを混紡した生地を使用した製造例もあります。
なお、後に登場するB-15Bではナイロン製の表地が採用されました。
酸素マスク用タブの違い
B-15シリーズには、酸素マスクのホースを固定するための革製タブが付いたモデルがあります。
ただし、1944年の初代B-15には、このタブは標準装備されていません。
1944年11月3日に制式化されたB-15Aで、酸素ホース固定用タブと通信コード用タブが追加されました。
そのため、初代B-15とB-15Aは区別する必要があります。
B-10とB-15の軍用仕様番号の違い
B-10とB-15は、米軍の仕様書番号でも区別できます。
| 項目 | B-10 | B-15 |
|---|---|---|
| 仕様番号 | 3157 | 3220 |
| 仕様書の発行 | 1943年6月19日 | 1944年4月 |
| 制式化 | 1943年11月4日 | 1944年4月8日 |
| 制式名称 | Jacket, Intermediate Flying, Type B-10 | Jacket, Intermediate Flying, Type B-15 |
1944年4月6日のB-15に関する米軍資料には、開発目的として「機能的な設計の改善」が記載されています。
実際に、ポケットやフロントジッパーなどが変更されており、B-15はB-10を改良したモデルであることが確認できます。
まとめ:B-10とB-15の違い
B-10とB-15は、どちらも第二次世界大戦中に採用された米陸軍航空軍のフライトジャケットです。
主な違いは以下の4点です。
- ポケット: B-10はフラップ付きパッチポケット、B-15はスラッシュポケット。
- ジッパー: B-10は中央の直線配置、B-15は位置をずらした構造。
- 防風フラップ: B-15ではジッパーを覆うフラップが追加された。
- 袖ポケット: B-15には左袖にペンポケットが追加された。
一方、初代B-15とB-10は、どちらもコットン系の表地とアルパカ・ウールの裏地、ムートンの襟を採用しています。

米軍仕様書では、B-15がB-10の機能的な設計を改良したモデルであることが確認できます。
実物や復刻品の外観については、WAIPER公式の写真も参照できます。
WAIPER公式|B-15B フライトジャケット(WP20)
※WP20は後期のB-15Bを再現したモデルです。初代B-15との仕様差に注意してください。
参考資料 : 米陸軍航空軍の一次資料
- Specification No. 3157 — Jacket, Intermediate Flying, Type B-10(1943年) — 米軍のB-10仕様書の複写。表地、裏地、襟、フロント構造などの規定を確認できます。
- Specification No. 3220 — Jacket, Intermediate Flying, Type B-15(1944年) — 米軍のB-15・B-15A仕様書の複写。構造変更と酸素ホース用タブの追加時期を確認できます。
米国の軍事博物館資料
- March Field Air Museum — B-10 United States Army Air Forces Cloth Flight Jacket — 米軍で使用されたB-10実物の収蔵・解説資料。

